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きもちの本拠地

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上海はコーヒー代が高い。カフェに入ればコーヒーが1杯最低でも500円する。600円
切ってるとちょっと安いなと思うし700円したとしてもうむ、しょうがないなと買う。

汚いキッチントイレシャワーは知らない男の人と共同で、驚くほど狭い月4万4000円のこの部屋は嫌いじゃないけどずっといると息が詰まる。右隣の部屋のドイツ人は朝から晩まで大音量で日本のアニメを流して朝方になるとバイオハザードみたいなゲームを開始するのでうるさくて寝られない。最近慣れてきたかと思いきや左隣のイタリア人が日本人彼女?を連れ込んで夜な夜なエッチを開始するので喘ぎ声がうるさくてこれまた眠れない。シャワールームも汚いのでどれだけ速く清潔にシャワーを浴びられるかに全力を注いでいるし安らぎの空間は家にはない。

留学に来る前は海外で遊びまくるのが留学だと思ってた。来てみると実際そんなことなかった。わたしは。日本にいる時も一人暮らしだったしバイトに明け暮れてつらかったけどこっちでもほとんど同じような生活をしている。日本にいてもこっちにいてもお金はないし友達も少ないし常に安らぎの場所がない。

わたしの好きな韓国のヒップホップ歌手が「家に帰りたいでしょ?家にいるのに」と歌っていて、なんて的確な表現をするんだと思ったことがあるが日本にいても中国にいても、1人で暮らしてても実家にいても常にどこかに帰りたいと思ってしまう。

狭い部屋にいてもいられずどこかに帰るかのように近所のカフェを転々としている。カフェはいい。Wi-Fiもあるし充電器もあるし音楽も流れてるしコーヒー代だけでわたしの席がしっかり確保されるしいつまでいてもおこられない。

毎回勉強道具をリュックに詰め込んで来るのに開いただけでやる気が出ない。中国語の本は集中して読むと力がどんどん奪われていくし韓国語の検定本は内容が堅苦しすぎて楽しさがまるでない。

早々に勉強を切り上げて一か月前から書き始めた日記帳を開く。一ヶ月前の今日を振り返ったら韓国人夫婦の家にお呼ばれして韓国人のちびっ子や台湾人のお姉さんたちと韓国人のおじかんが作ってくれた握り寿司を食べていた。時間が経つのは早いのか遅いのか、今のわたしにはよくわからない。

ふとした瞬間に日本に帰りたいなと思うのが癖になっている。日本に帰ったら上海に来たいなと思うのだろう。日本に帰ったら中国語と韓国語だけで生活している今の生活が恋しくなるんだと思う。帰らなくてもわかる。でも帰りたい。

どこにいても何をしていても昨日が最高に楽しかった日でもその楽しさの余韻が2日と持たない。退屈な瞬間が一瞬でも訪れると不安で仕方なくなる。夜遊びに出かけるあと3時間が待てない。何かで埋めたい。

その何かとして一番手っ取り早いのが食事で、日本では食べられないローカルフードはとてもおいしい。今日はなにを食べよう、おやつの時間だから甘いものを食べてハッピーになろう、夜だからなにか食べに行かなきゃ、そうしていると意外と1、2時間は埋まるのだが今のわたしはダイエット中でほぼサラダしか食べられない。生野菜を手に入れるのが日本よりも困難なこの国で少量で400円もするサラダを食べに行くのもだんだんとめんどくさくなる。今日の夜ご飯は多分なんにも食べないと思う。

なんで楽しい留学生活中に、楽しい海外でわざわざダイエットをはじめたのかというと、お世辞を言わない外国人たちに触れて自分の外見の悪さを痛感させられたからだ。

日本人はダイエットするというとしなくていいよ!健康に悪いよ!というがわたしの周りの韓国人は「食うな、それか動け」という。痩せると「痩せたね!」というし食べると「食べただろ!見ればわかる!」という。今の年齢で綺麗じゃなかったらいつ綺麗になんの?人生終わりだぞ?という。かっこいいお兄さんに「整形した方がいいよ」と言われたこともあるし「かわいいね」といってきたお兄さんが「きれいって言えない相手にかわいいっていうんだよ、覚えといてね」と言われたこともある。

先週あたりに嫌になって暴食していたのだが、一緒にバイキングを食べに行った韓国人の女友達2人がぺしゃんこのお腹と棒切れみたいな足をみて「最悪…やっぱ太った、食べるんじゃなかった」と食後にダイエットのためにアイスコーヒーを流し込んでいるのを見てハッとした。細すぎて隣に並びたくないくらいなのに彼女たちはまだやせようとしていた。

ダイエットを始めてからお酒に滅法弱くなった。前はどれだけ飲んでも大丈夫だったしベロベロに酔っ払った後でも寝て起きたらピンピンしてた。サラダ生活になってからはお酒を入れた瞬間から酔いはしないのに激しい胃痛に襲われるようになったし胃痛が次の日まで残ると体が辛くて起きられない。

明らかにダイエットがおかしな方向に進んでいるのはわかりつつも綺麗な人のほうが生きやすいという事実が食欲を奪う。でもやっぱりお腹空いた。

はやく家に帰りたいのに部屋には戻りたくない。3時に頼んだホットコーヒーは冷えきっていてもう不味くなってしまっている。

帰り道にいつものコンビニに寄るといつもいるわたしの肌の状態を心配してくれたりカップラーメン買おうとするとこんなもの食べるな!と買わせてくれないおばちゃんが「そんな格好して寒くないの!?あら!今日は化粧きれいにしてるのね!」と言ってくれた。

明日は月曜日。